Kurotomo drawing

Commission Project
Cover
Client_Masahiko Takeda
Desiginer_Hiromasa Fukaji
Year_2022
Graphic

音楽家武田真彦氏の祖父母が制作していた、西陣織の黒帯「大樋の黒共」。長らく栄えていた工場は和装文化の衰退によって平成4年に廃業となり、先祖代々受け継いできた美しい黒帯の技術はもう残されていない。「祖父母の美しい織物をアーカイブとして残したい」「私ができる伝統の継承とは何か。」その想いを元に、武田氏は西陣織を初めとする京都の伝統工芸について調査・スタディ・作品制作を続けてきた。

黒糸に漆の加工を施すことによって光沢の違いを作り、その差によって紋様を浮かび上がらせる黒帯の技術。「黒の中の黒」の繊細な美しさを強く感じ、その美しさをPlotter Drawingで表現することに挑戦した。伝統的に用いられてきた自然の和文様「遠山」「雷」「流水」の3図案を、コンピュテーショナルのプロセスを取り入れ、新たにデザイン。漆黒の紙の上に、それらの文様を鉛筆で描くことで、黒紙と黒鉛の繊細なバランスで魅せる精緻な表現となった。

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大樋の黒共(おおひのくろとも):
大樋 茂夫,恭子(オオヒ シゲオ, ヤスコ)
創業年不明。大樋吉次郎により明治時代には家内工業として織屋を初めており、力士のまわしなど当時より高品質な織物を製造。戦後、吉次郎の後継である大樋茂夫が、当時需要の高かった喪服用の黒共に注力し、黒共専門の織屋として西陣生地の製造を行う。黒共は、喪服用の黒帯として女性の必需品であり、嫁入り道具としての文化を纏っていた。機械化が進むなか、手作業での工程を残すことで品質を守る。上質な黒帯「大樋の黒共」として名が通り、外井、丸居、増織、岡慶などの問屋に卸す。和装文化の衰退とともに黒共の需要も低下、平成4年に工場を畳む。

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